【過去記事が再燃】ネパール人男性2人に無罪判決 少女への性的暴行事件、14年間で変わった日本の性犯罪司法[26/10]

概要

2012年2月、福岡地方裁判所がネパール国籍の男性2人に無罪を言い渡した事件が、2026年10月になってX(旧Twitter)で再び注目を集めている。

当時16歳の少女に性的暴行を加えたとして起訴された事件で、検察側は2人にそれぞれ懲役6年を求刑。しかし、裁判所は少女の供述を信用できないと判断し、無罪を言い渡していた。

SNSでは判決への批判や、日本の性犯罪に対する司法判断を疑問視する声が上がっている。

ただし、今回拡散されているのは14年以上前の記事であり、現在発生した事件ではない。

■ 2012年の福岡地裁判決、事件の経緯

2012年2月14日付の日本経済新聞によると、事件は2011年2月下旬、福岡市南区の公園で発生した。

起訴されたのは、当時23歳のホテル従業員と28歳の専門学校生で、いずれもネパール国籍の男性だった。

検察側は、2人が知人の16歳の少女に集団で性的暴行を加えたとして、それぞれ懲役6年を求刑した。

しかし、福岡地裁の野島秀夫裁判長は、少女の供述の信用性を認めず、2人に無罪を言い渡した。

判決では、少女が2人を公園に誘い、友好的に会話をした後に性的行為があったと認定。

さらに、暴行や脅迫を用いた事実は認められず、少女が明確に拒絶する態度を示していなかったことなどを挙げ、当時の強姦罪の成立を認めなかった。

判決後、福岡地検は判決文を詳しく検討し、上級庁と協議した上で対応を判断すると説明していた。

■ その後の裁判はどうなったのか

今回、2012年の報道から2026年10月までの関連情報を調査したが、検察側が実際に控訴したかどうかや、控訴審で判決が変更されたかを確認できる続報は見つからなかった。

したがって、確認できるのは2012年2月の福岡地裁による一審無罪判決までとなる。

無罪判決がそのまま確定したのか、後に別の判断が示されたのかについては、現時点では不明である。

■ 2012年当時、性犯罪はどのように裁かれていたのか

2012年当時の刑法では、強姦罪の成立には原則として暴行や脅迫によって相手の反抗を著しく困難にしたことなどが必要だった。

また、暴行や脅迫の有無を問わず処罰対象となる年齢は13歳未満であり、13歳以上の被害者については、暴行・脅迫や抵抗できない状態などの立証が重要となっていた。

そのため、被害者が恐怖で身体を動かせなかった場合や、抵抗することを諦めた場合でも、当時の法律上の要件を満たすかが争点になることがあった。

今回再び注目された福岡地裁の事件も、そうした旧刑法の下で審理されたものだった。

■ 2017年、約110年ぶりの性犯罪規定の大幅改正

2017年、日本では性犯罪に関する刑法が大幅に改正された。

従来の「強姦罪」は「強制性交等罪」に変更され、被害者の性別を問わない規定となった。

また、法定刑の下限が懲役3年から5年に引き上げられ、被害者からの告訴がなくても起訴できる非親告罪となった。

さらに、保護者などの立場を利用して18歳未満の子どもに性的行為をする「監護者性交等罪」も新設された。

ただし、この時点では暴行・脅迫などの成立要件や、性交同意年齢について大きな変更はなかった。

■ 2019年、相次ぐ無罪判決が社会問題に

2019年には、性犯罪事件で無罪判決が相次ぎ、司法判断をめぐる議論が全国に広がった。

その一つが福岡地裁久留米支部の事件だった。

2019年3月、飲酒によって抵抗できない状態にあった女性に性的行為をしたとして起訴された男性会社役員に対し、裁判所は無罪を言い渡した。

一審は、女性が抵抗できない状態だったことを認めながら、男性が女性の同意を誤信した可能性を否定できないと判断した。

しかし、2020年2月、福岡高裁は一審の無罪判決を破棄し、懲役4年の逆転有罪判決を言い渡した。

さらに2021年5月、最高裁が男性側の上告を棄却し、有罪判決が確定した。

また、愛知県でも、実の娘に性的暴行を加えたとして起訴された父親に対し、2019年3月に一審で無罪判決が出された。

ところが2020年3月、名古屋高裁は長年の性的虐待によって娘が抵抗できない状態にあったと認定し、懲役10年の逆転有罪判決を言い渡した。

この判決も同年11月、最高裁で確定した。

一連の無罪判決は、性暴力への抗議活動「フラワーデモ」が全国に広がるきっかけの一つとなった。

■ 2023年、不同意性交等罪へ 判断基準が大きく変化

2023年7月には、性犯罪に関する刑法が再び大幅に改正され、「強制性交等罪」は「不同意性交等罪」に変更された。

最大の変更点は、暴行や脅迫だけでなく、性的行為に同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態に着目したことだ。

具体的には、暴行・脅迫のほか、アルコール、薬物、恐怖による硬直、虐待、立場による影響力などが原因で、同意しない意思を示したり貫いたりすることが困難な状態での性的行為が処罰対象として明確化された。

また、性交同意年齢も従来の13歳未満から16歳未満に引き上げられた。

13歳以上16歳未満の場合は、原則として5歳以上年長の相手との性的行為が対象となる。

さらに、不同意性交等罪の公訴時効は原則15年となり、被害者が18歳未満の場合は、18歳になるまでの期間が追加される仕組みも導入された。

2023年の改正では、子どもなどへの事情聴取についても制度が整備された。

被害者への負担や誘導の危険性を軽減する方法で録音・録画された供述を、一定の条件の下で裁判の証拠として使用できるようになった。

■ 2026年現在、同じ事件なら判決は変わるのか

2026年現在、日本の性犯罪に対する法制度は、2012年当時から大きく変化している。

かつて重視されていた暴行や脅迫の程度だけでなく、被害者が恐怖で動けなかったか、拒絶する意思を示せない状況だったかなども、法律上明確に判断対象となっている。

ただし、今回の福岡地裁の事件では、少女は当時16歳だったため、現在の性交同意年齢の規定だけで自動的に犯罪が成立するわけではない。

また、2023年の改正法を2011年の事件にそのまま適用し、過去の判決を変更することもできない。

性犯罪事件では、被害を訴える人の供述を適切に評価することと、被告人の犯罪を合理的な疑いを超えて証明することの両方が必要となる。

2012年の福岡地裁判決が再び注目される一方、日本の司法制度はこの14年間で、性犯罪の成立要件、子どもの保護、被害者への事情聴取、公訴時効などを段階的に見直してきた。

今回の過去記事の再拡散は、当時と現在の法律の違いを改めて知る機会にもなっている。

編集部[26/10/19]

Xより

引用元:https://x.com/i/trending/2111795189945692571?s=20

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