
外務省によると…
パキスタンに対する無償資金協力「シンド州におけるインダス川洪水防御及び堤防改善計画」に関する書簡の署名・交換
9月7日(現地時間同日)、パキスタンの首都イスラマバードにおいて、赤松秀一駐パキスタン日本国特命全権大使と、ムハンマド・フメイル・カリ-ム・パキスタン・イスラム共和国経済省次官との間で、25億8,500万円を供与限度額とする無償資金協力「シンド州におけるインダス川洪水防御及び堤防改善計画」に関する書簡の署名・交換が行われました。
- パキスタンは、山岳地帯が多いという地形的特徴から自然災害による被害を受けやすい環境にあり、特に、同国中央部を流れるインダス川及びその支川では、モンスーン期の豪雨による洪水の発生頻度が高く、これまでも大きな被害が生じています。
- 本協力は、浸水時に大規模な経済損失が予想されるシンド州ラルカナ県において、インダス川の堤防の改修及び増強を行うものです。これにより、堤防の決壊リスクが低減し、災害時の経済損失リスクが削減され、災害に対して強靭な社会の構築につながります。また、同県は同国最大の都市カラチと首都イスラマバードを結ぶ物流回廊の中間点に所在しており、本協力により日本企業を含むパキスタン国内の民間企業のサプライチェーンの強靭化にも繋がります。
- パキスタンは、世界第5位の人口を擁し、アジアと中東のゲートウェイに位置するという地政学的重要性を有しています。その経済・社会発展は、パキスタンを含む地域の平和と安定に寄与するものであり、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に資するものです。また、書簡の署名・交換に際しては、パキスタン側から、平和国家である日本がこれまでパキスタンの防災分野に協力してきたことを高く評価する旨の発言がありました。
[全文は引用元へ…]令和8年9月7日
Xより
引用元:https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_04141.html?utm_source=chatgpt.com
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編集部の見解
パキスタンの洪水対策に約25.9億円を供与
日本政府は、パキスタンの洪水対策を支援するため、供与限度額25億8,500万円の無償資金協力を実施します。対象となるのは「シンド州におけるインダス川洪水防御及び堤防改善計画」で、洪水による大規模な被害が予想されるラルカナ県において、インダス川の堤防を改修し、増強するものです。
パキスタンは山岳地帯が多く、モンスーン期には豪雨による洪水がたびたび発生しています。特にインダス川とその支流では、これまでにも住宅や農地、道路などが被害を受けてきました。今回の協力により堤防の決壊リスクが低下すれば、住民の安全確保だけでなく、災害時に発生する経済的な損失の削減にもつながるとされています。
支援対象となるラルカナ県は、パキスタン最大の都市カラチと首都イスラマバードを結ぶ物流回廊の中間に位置しています。外務省は、堤防の強化によって、日本企業を含む民間企業のサプライチェーンの強靱化にもつながると説明しています。この点を考えれば、単に外国の堤防を整備するだけではなく、日本企業の活動環境を守るという意味も含まれているのでしょう。
書簡の署名・交換に際し、パキスタン側からは、平和国家である日本がこれまで同国の防災分野に協力してきたことを高く評価する発言があったとされています。海外で日本の技術や支援が評価されること自体は喜ばしいことです。ただし、約25.9億円という規模の無償資金協力である以上、外交上の評価だけでなく、完成後の効果や維持管理の状況まで確認する必要があります。
堤防をどの程度改修するのか、どれほどの住民や企業が恩恵を受けるのか、工事後に洪水被害がどの程度減少したのかなど、具体的な成果を国民に示してほしいところです。支援を決定した段階で終わるのではなく、事業の進捗や完成後の検証結果まで公表することが重要です。
海外支援の内容を国民へ堂々と伝えるべき
今回確認した範囲では、この支援に関する目立ったコメントはありませんでした。しかし、関心がないのではなく、約25.9億円の無償資金協力が実施されること自体を知らない人が多い可能性があります。外務省の公式サイトを毎日確認している人は限られており、政府が発表していても、多くの国民に伝わっているとは言いにくい状況です。
日本政府は、世界各国に対して食料、医療、防災、教育、インフラ整備などの支援を継続しています。一件ごとの発表は個別に行われるため、年間で何件の支援が決まり、合計でいくらになるのかを一般の人が把握することは簡単ではありません。その結果、「税金を納めているのに、知らない間に海外支援が決まっている」と感じる人が出てくるのだと思います。
海外支援をすべて否定する必要はありません。災害対策を通じて相手国との信頼関係を築き、地域の安定や日本企業の活動を支えるのであれば、外交政策として一定の意義があります。だからこそ、政府は支援の必要性を堂々と説明すべきです。支援額、財源、実施期間、日本に期待される利益、事業終了後の成果まで分かりやすく伝えれば、国民も冷静に判断できます。
地上波のニュースでは、海外支援の決定が詳しく取り上げられる機会は多くありません。すべての案件を長時間報道するのが難しくても、短いニュースや定期的な特集として紹介することは可能です。政府が「外交の成果」を強調するのであれば、その成果を得るために日本がどれだけの資金を拠出したのかも同時に伝える必要があります。
政治家が個別の海外支援について言及する機会が少ないことも気になります。予算に関わる立場である以上、なぜ必要なのか、どのような国益があるのかを自分の言葉で説明してほしいものです。成果があれば紹介し、計画どおりに進んでいなければ改善を求めることも政治家の役割です。公式サイトに掲載しただけで説明責任を果たしたと考えるのではなく、国民へ積極的に知らせる姿勢が求められます。
国内の被災者に対する支援を優先してほしい
パキスタンの洪水対策を支援するという発表を見て、まず日本国内の被災者を支えてほしいと感じる人もいるでしょう。日本でも豪雨や台風による河川の氾濫、土砂災害、住宅への浸水が毎年のように発生しています。家を失った人だけでなく、床上浸水や農地の被害、事業設備の損壊によって生活再建が難しくなった人もいます。
公的支援には一定の条件があり、住宅の被害程度や世帯の状況によっては対象にならない場合があります。修理費や家財の買い替え、住宅ローン、仮住まいの費用など、実際の負担に対して支援が十分ではないと感じる被災者もいるはずです。被害認定の違いによって受け取れる支援に差が生じることもあり、制度の壁に苦しむ人への対応は大きな課題です。
海外の堤防を25億8,500万円で整備する一方、日本国内では河川、排水設備、砂防施設、老朽化した堤防など、対策を急ぐ場所が数多くあります。政府には予算ごとに目的があり、国内事業と政府開発援助を単純に比較できない面はあります。それでも、国民が「なぜ国内より海外が先なのか」と疑問を持つことは当然です。
私は、国際協力を進める前提として、国内の防災と被災者支援を十分に行うことが必要だと考えます。日本で洪水被害を受けた人が生活再建に苦しんでいる中、海外への大規模な無償資金協力だけが目立てば、納得を得ることは難しくなります。国内の災害支援を充実させたうえで、海外支援の目的と効果を説明する順序が大切です。
被災者生活再建支援制度の対象や支給額が現実の負担に合っているのか、農家や中小事業者への支援が十分なのか、河川整備が必要な地域に予算が届いているのかも検証してほしいところです。海外で日本の防災協力が評価されるのであれば、その技術と予算を国内でも最大限に生かしてもらいたいと思います。
パキスタンへの協力が人命や物流を守り、日本との関係強化につながる可能性はあります。ただし、日本国民が置き去りになっていると感じない政策運営が欠かせません。海外と国内の支援額、目的、成果を公開し、国内の被災者を第一に支える姿勢を明確にすることが、国民の納得を得られる税金の使い方につながります。
執筆:編集部





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