
概要
政府が、データセンターやクラウドサービスの安全性を審査する新たな認証制度の創設を進めている。
日本経済新聞の報道によると、総務省と経済産業省が2027年度以降の導入を目指しており、中国やロシアなど、安全保障上の懸念がある国の影響下にある事業者を事実上排除する仕組みになるという。
対象となるのは、国内に施設を持つデータセンター事業者や、日本国内にサーバーを保有するクラウドサービス提供者。
審査では、企業の経営・支配関係、情報漏えいを防ぐリスク管理体制、サーバーや通信設備の調達先などを確認する。
特に金融機関や医療機関など、重要な個人情報を扱う企業に対しては、国が安全性を認証したサービスの利用を促す方針だ。
また、重要な個人情報を取り扱う企業に事前届け出を求め、データの保管に安全保障上のリスクがある場合には、国が中止命令や勧告を出せる制度も検討されている。
政府は2027年の通常国会に経済安全保障推進法の改正案を提出する方針と報じられている。
■ なぜ中国系事業者が問題になるのか
背景には、外国政府が国内企業の保有する情報にアクセスする可能性への懸念がある。
中国では2017年に国家情報法が制定され、第7条には、すべての組織と国民が法律に基づいて国家の情報活動を支持・援助・協力する義務が定められている。
このため、日本国内にサーバーが設置されていても、運営企業が外国政府の法的な影響を受ける場合、情報の機密性を十分に確保できるかが問題となる。
ただし、今回の構想は中国企業を国籍だけで一律に禁止する制度ではない。
事業者の支配関係や運営体制、情報へのアクセス権限などを審査し、実際のリスクに基づいて判断する仕組みが想定されている。
■ 日本でもすでに始まっている安全性評価
日本には、政府が利用するクラウドサービスを評価する「ISMAP(イスマップ)」という制度がある。
2020年に運用を開始したもので、政府機関がクラウドサービスを調達する際には、原則として安全性の評価を受けた登録サービスから選定する。
また、2024年には経済産業省が、さくらインターネットによる国内クラウド基盤の開発計画を経済安全保障推進法に基づいて認定した。
今回の新制度は、従来の政府向けクラウド評価とは異なり、民間企業が扱う重要情報やデータセンターの運営体制にも安全保障上の対策を広げる動きとなる。
■ 米国や欧州ではどのような対応が進んでいるのか
米国では「FedRAMP」と呼ばれる制度を運用している。
連邦政府が利用するクラウドサービスについて、情報セキュリティ対策を統一的に評価・認証する仕組みで、2026年には認証制度の見直しも進められた。
欧州連合(EU)でも、サイバーセキュリティ規制「NIS2指令」によって、クラウド事業者やデータセンター事業者にリスク管理や事故対応などを求めている。
さらにフランスでは、国家サイバーセキュリティ庁による「SecNumCloud」という認定制度を導入。
技術的な安全性だけでなく、外国の法律によって機密情報へのアクセスを要求されるリスクへの対策も審査している。
2026年9月には、フランスのクラウド企業OVHcloudが公共クラウドサービスで同認定を取得した。
ただし、海外でも制度の内容は異なり、すべての国が外国系事業者の一律排除を進めているわけではない。
■ SNSでは歓迎する声と実効性への疑問
今回の報道を受け、Xでは政府の方針を支持する投稿が見られる。
「高市内閣のいい取り組み」「ようやく安全保障面で動き出した」といった反応や、個人情報や企業の機密情報を守るために必要な政策だとする意見が投稿されている。
一方、「2027年度では遅いのではないか」「認証後の監視や審査体制は十分なのか」といった疑問もある。
また、外国企業が日本法人や下請け企業を通じて事業に関与するケースまで確認できるのかなど、制度の実効性を懸念する意見も見られる。
なお、これらは確認できた投稿やネット上の反応の一部であり、SNS全体の賛否の割合を示すものではない。
■ 今後の動き
政府は2027年度以降の制度導入を目指しているが、認証基準の詳細や対象事業者の範囲などは今後の制度設計で具体化される。
データセンターやクラウドは、行政、金融、医療、企業活動を支える重要な情報インフラとなっている。
今回の構想は、サイバー攻撃への対策に加え、データを預かる企業の経営・支配関係や、外国政府の法制度による影響まで安全性評価の対象とするものだ。
今後は法改正の審議とともに、審査基準の透明性や継続的な監督体制の整備が重要となる。
編集部[26/10/21]
Xより
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